傷を愛せるか

傷を愛せるか

以下、チャプターズでご紹介時の推薦文です。

ページ数:240ページ
ジャンル:エッセイ集
読了しやすさ:★

<あらすじ>
弱いまま強くあるということ。

たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること―。

トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。


<おすすめポイント>
人生において、つらいことはないほうがいいでしょうか。つらいことが起きてしまったときはなるべく早く忘れ、傷がなかったかのようにふるまうことがいいのでしょうか。そうではなく、傷をそっとなぞり、見つめ、ともにその後を生きていく、というのもひとつの生き方かもしれません。

本書は精神科の医師でありトラウマの研究者でもある著者が、ボストン、沖縄、ブエノスアイレス、バリ、金沢、と旅をしながら、『心の傷』について水の中にもぐるように、ゆっくりと考えを深めていく1冊です。

まるで詩のように美しい文章は読んでいるだけで心が落ち着き、物憂げなこの季節にぴったりです。

推薦文寄稿:蟹ブックス 書店主 花田菜々子