この世にたやすい仕事はない

この世にたやすい仕事はない

以下、チャプターズでご紹介時の推薦文です。

ページ数: 424ページ
ジャンル:連続短編小説
読了しやすさ:★

<あらすじ>
「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」

ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。
隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして……。

社会という宇宙で心震わすマニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探す、共感と感動のお仕事小説。


<おすすめポイント>
今回選書作業を進める中で、複数の出版社・書店員さんから名前の上がった、お仕事小説作家として呼び声の高い作家さん。彼女が描く日本一(?)地味なお仕事小説はこちらです。

前職の働きすぎが原因で燃え尽き症候群となってしまった主人公が、ハローワークの窓口でとっさに口から出た一言。

「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありませんか?」

これ、すごいパンチラインだなと思いました。成績や期日に追われずに、自分じゃなくてもできるような仕事をしたい、責任感から解放されたい。働く誰しもが一度は感じた事があるのではないでしょうか。

だったら。この小説で一緒に擬似転職してみませんか。ひたすら地味な職を渡り歩くジョブホッパーが主人公の本作は、ハローワークで紹介されるひたすらに地味な仕事を通じて、「はたらく」ことについて考えていきます。

くすっと笑える箇所もあり、この地味さの虜になりました。
タイトルも素晴らしい、今疲れている方・仕事にモチベーションを見出せない方・これから働く方にもおすすめです。

今元気な方は主人公に「ファイト!」を送れると思うし、元気のない方は一緒に「ファイト!」とつぶやくでしょう。
みんなで休み休み、ぼちぼち、いきましょう。

推薦文寄稿:Chapters bookstore 書店主 森本萌乃