【南】202101

ページ数：236ページ
ジャンル：長編小説
読了しやすさ：★★★★★


＜あらすじ＞
どうやら俺の人生には、今後何一つ良いことがないらしい。
寿命の“査定価格”が一年につき一万円ぽっちだったのは、そのせいだ。　未来を悲観して寿命の大半を売り払った俺は、僅かな余生で幸せを掴もうと躍起になるがーーー

＜スタッフおすすめポイント＞
前情報をあえて入れずに手に取りたい、意外な作品です。
「残りの寿命を買い取る」という突飛な設定が少しSF的ですが、そんな冒頭からは想像も出来ないくらいにありふれた日常の中で展開する物語。とにかく読みやすいので、夜更かしや電車の乗り過ごしにくれぐれもご注意ください。

ヒロインと関わることで少しずつ彩りを帯びていく、主人公の堕落した灰色の人生。寿命を売る、タイムリミットが迫った主人公の人生を追いながら、そんな色づいていくストーリーの変遷を感じて頂けたら嬉しいですし、最後の最後まで分からない“大逆転”の意味にもご注目ください。

読書好きもそうでない方も虜にする本書、中学生以上のお子さんから大人まで楽しめるので、子育て世代の家族での回し読みにもおすすめです。

推薦文寄稿：Chapters bookstore 書店主 森本萌乃