
キッチン常夜灯
以下、チャプターズでご紹介時の推薦文です。
ページ数:304ページ
ジャンル:連続短編小説
読みやすさ:★★★
<あらすじ>
住宅街の片隅に佇む小さなビストロ、今宵もオープン。
街の路地裏で夜から朝にかけてオープンするビストロは、立ち寄ると何故だか心がほぐれていく不思議なお店。
寡黙なシェフが作る滋味深い料理の数々に舌鼓、共感と美味しさ溢れる温かな物語。
<おすすめポイント>
ほっこり小説、美味しい小説。
そんな誘い文句に呼ばれて手に取る小説は数あれど、ほっこり×美味しい界の選者(=書店主・森本)的暫定トップがこちらです!
物語の舞台は、真夜中に営業をするビストロ。
主人公は、そんなビストロに魅了された20代の働く女性です。
若くしてチェーンの飲食店で店長を任された彼女は、自分なんかに店長が務まるのか、自分の店で提供する料理は料理と言えるのか、日々悶々と葛藤を続けます。彼女のささやかなご褒美は、1人で時々訪れるビストロでの時間。お店に漂う優しく穏やかな時間と、シェフや常連客との緩やかな関わり合いの中で、毎日の緩急のバランスを見つけていきます。
悩みの根本は解決してくれないけれど、美味しいご飯は必ず明日の活力につながる。ほっこり小説にありがちな、優しい人しか出てこない世界観で起こる優しい予定調和が案外少ない点が、この本の魅力の一つです。働く世代はきっと共感できる部分も多いはず。
ビストロのメニューはどれも目移りするほど美味しそうですが、特に日替わりのスープは涎が止まりません。素朴で優しくて美味しそうな、透き通るコンソメスープ、いつか飲んでみたいものです。
夜眠りづらい方にも、入眠時におすすめな本作。逆に通勤・休憩時間の読書は眠くなるので要注意。
解決よりも上手い飯!言葉のスープで温まって、明日も頑張りましょう。
推薦文寄稿:Chapters bookstore 書店主 森本萌乃
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