潔白

潔白

以下、チャプターズでご紹介時の推薦文です。

ページ数:323ページ
ジャンル:長編ミステリー
読みやすさ:★★

<あらすじ>
「権力vs.個人」の攻防を迫真のリアリティで描く骨太ミステリ小説。

真実は、ただひとつ。偽造、隠蔽、証拠の廃棄……こんな非道が国家のやり口か!?司法権力に、個人は抗えるか――。
札幌地検に激震が走った。30年前に小樽で発生した母娘惨殺事件に前代未聞の再審請求審が起こされたのである。
被告の死刑は異例の早さですでに執行済み。もし冤罪なら、国家は無実の人間を殺めたことになってしまう。
司法の威信を賭けた攻防に、曰く付きエース検事が指名された。

<おすすめポイント>
お読みになった方は気づかれるかもしれません。
本作は、「文庫X」として注目を集めた『殺人犯はそこにいる』(清水潔)を下敷きに実際の事件を元にしたフィクションとなっています。
本当にこんなことがあるのか…と、リアリティがないように思えるかもしれません。でも、『殺人犯はそこにいる』を読まれた方は、これがリアルだと感じるでしょう。そのため合わせて読むと面白さ2倍です!

被告の娘と弁護団が、度重なる国家権力の妨害に抗いながら協力者を得て茨の道を突き進む物語。
緻密なのに難しいかといえば読み易く、読み進めるたび何度も裏切られる、結末まで気が抜けない一気読みミステリー。
陳腐な言葉になってしまいますが、めちゃくちゃ面白いです!今月の選書の中心となった作品。

今月、長編にどっぷり浸かりたい方は是非こちらを。
寒い冬を乗り切り、作品の主人公たちとともにあなた自身の過去への後悔も断ち切れたら、きっと温かい春はすぐそこです。

推薦文寄稿:Chaptres bookstore 書店主 森本萌乃