【南】202103

ページ数：360ページ
ジャンル；長編小説
読了しやすさ：★★★★

＜あらすじ＞
人と言葉を交わしたりすることに自信がもてない主人公。
誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで彼に出会った。

心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。渾身の長編恋愛小説。

＜スタッフおすすめポイント＞
深夜二時、飛び出したくなる都会の夜空。

“真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う。それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよ・・・”
夜の美しさが活字となって押し寄せてくる冒頭から、ぐっと心を持っていかれます。

人づきあいが苦手で、孤独を当たり前として生きてきた主人公の数少ない楽しみは、誕生日の夜に一人散歩をすること。極端に内気な性格なので共感性は二つに分かれますが、口数の少ないシャイなあの子の独り言をずっと覗き見するような、中毒的な快感があります。

女性目線のラブストーリーでありながら、男性をも魅了する美しい物語。喧騒と静寂のコントラスト、これ程までに都会の夜空が似合う物語はなかなかないと、選書ミーティングも満場一致で盛り上がった作品です。

推薦文寄稿：Chapters bookstore 書店主 森本萌乃