ページ数:221ページジャンル:エッセイ読了しやすさ:★★★
<あらすじ>一歳と四歳の娘と始めたパリでの母子生活。近づく死の影から逃れるための突然の帰国。夫との断絶の中、フェスと仕事に追われる東京の混迷する日々……。
6年間のパリ生活に終止符を打ち、東京に帰国した作家である著者が、前後2年間で感じた孤独と苦悩を綴ったエッセイ。
<スタッフおすすめポイント>本作は、パリ編と東京編、著者の身を置く環境に応じて大きく2つのパートに分かれています。パリでの生活、そう聞くと華やかで楽しげな姿ばかりが浮かびますが、そんな浅はかな妄想を冒頭から裏切り、全体的に暗く、アンニュイなトーンで進みます。
"自分を愛することを認めてくれる人はたくさんいるけれど、自分を愛さないことも認めてくれる人は稀有で、彼女はその一人だと思う"
本の帯に書かれたこの推薦文に、読了後改めて読むと心から共感。ここまで脆い感情を包み隠さず見せてくれるエッセイは珍しく、解像度の高さはさすが作家さんです。こんなにも脆く危うい自分の性格を「図太い神経」と形容する著者は、きっと優しい人間なのだろうと個人的には感じます。
選者(書店主・森本)は、本書を偶然少し元気のない時期に読み始めまして。終盤、気がつくと本を抱きしめており、大切に読了したあとあらゆる友人に買ってプレゼントしました。個人的にはそれほど良かったのですが、友人からは「ちょっと読みづらい」「暗いかも」というコメントも笑。
好き嫌いが分かれると思いますが、自分が嫌い・愛せない日々にそっと寄り添えればと思い、選書しています。作家の日常、という観点で"読書の秋"の選書にラインナップしましたが、正直本作を入れたかったので強引にねじ込みました。
パリや東京など居場所はほとんど重要ではなく、精神世界の話のように思います。今月、少し気持ちが下降・停滞気味の方は、ぜひこちらを。
推薦文:Chapters bookstore 書店主 森本萌乃
全国一律330円(税込)※送料は、複数ご購入いただいた場合でも1商品ごとに発生します。
現役書店員や出版社の方と、時間をかけてじっくり丁寧に選書。直感でお選びいただくことで、普段自分では手に取らないような本との出会いをお届けします。
2024年4月にオープンした市ヶ谷の実店舗「チャイと選書 Chapters bookstore」では、お客様一人ひとりのお気持ちに寄り添った選書もご提供しております。